東京で民泊の許可を取得する手続きの流れ。行政書士に相談が◎
[掲載日]2018/06/19 1618 -

東京で民泊を始める場合、大田区であれば、「国家戦略特区」であるため、「特区民泊」を始める事ができます。
大田区以外で民泊を始める場合は、旅館業の許可を取得するか、民泊新法で届出をすることになります。
「特区民泊」「旅館業法」「民泊新法」それぞれ許可を取得するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
旅館業と民泊新法の違いって?
特区民泊で申請できない場合、旅館業の許可を取るか、民泊新法で届出をすることになりますが、どちらがよいのでしょうか。
利益重視なら「旅館業」
旅館業で民泊を始める場合は、都道府県知事の許可が必要になります。
旅館業法では、立地、建物、設備など満たさなければならない基準や条件が多く、申請のハードルは高いです。
しかし、一度許可を取得してしまえば、365日営業が可能になります。
許可の取りやすさでいったら「民泊新法」
民泊新法で民泊を始める場合は、届出をすれば営業が可能になります。
もちろんどんな施設でもOKなわけではなく、基準や条件がありますし、民泊オーナーとしての義務も課せられますが、旅館業の許可を取得するよりはハードルが低いです。
しかし、民泊新法には営業日数に制限があるといったデメリットがあります。
1年で最大180日しか営業することができません。
さらに各自治体の民泊条例により営業できる曜日なども制限されている場合が多く、特に東京23区では、平日の民泊営業は禁止という地域がほとんどです。
特区民泊の申請手続き
特区民泊は、東京都であれば大田区でのみ申請することができます。
特区民泊は、旅館業法ではなく、自治体の民泊条例に定められた基準に基づいて申請することになり、認定されれば、旅館業法の許可と同じように365日営業が可能になります。
特区民泊の手続き方法は、大田区のホームページで確認することができ、申請書もダウンロードすることができます。
- 生活衛生課・消防署へ事前相談
- 近隣住民への周知
- 申請・手数料納付(20,500円)
- 書類審査、現地調査
【特区民泊の申請手続き】生活衛生課へ事前相談(必須)
特区民泊を申請できる物件であるか確認が必要であるため、生活衛生課へ事前相談しましょう。
相談の際は、平面図(換気設備、採光、暖房、冷房、台所、浴室、便所、洗面設備及び寸法)の資料が必要です。
- 居室の床面積が25平方メートル以上で施錠可能であること
- 台所、浴室、便所・洗面設備があること
- 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理・清掃に必要な器具などがあること
- 外国語を用いた案内があること
- 滞在期間が2泊3日以上であること
- 建築基準法上「ホテル・旅館」が建築可能な用途地域であること
生活衛生課への相談で、不備が見つかった場合は、建築審査課への相談が必要になることもあります。
【特区民泊の申請手続き】消防署へ事前相談(必須)
所轄消防署予防係に事前に連絡をしたうえで、消防法の設備基準について相談に行きます。
平面図(換気設備、採光、暖房、冷房、台所、浴室、便所、洗面設備及び寸法)の資料が必要です。
【特区民泊の申請手続き】近隣住民への周知(必須)
大田区の場合、事前周知は書面によるポスティングでOKですが、周知する書面内容を事前に生活衛生課で確認してもらわなくてはなりません。
- 氏名、施設の名称、所在地
- 近隣住民からの苦情などの窓口の連絡先(担当者名、所在地、電話番号)
- 廃棄物の処理方法
- 火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法
- 当該書面に関する問合せ先の名称、連絡先
- 意見の申出期限
- 平易な表現を用いた当該事業の内容
ポスティングしたことにより、近隣住民から民泊についての質問や意見など問い合わせがくることが予想されます。
真摯な対応を心がけましょう。
【特区民泊の申請手続き】施設検査
保健所の調査員が、立ち会いのもと、申請された書類と相違がないか、構造設備基準を満たしているかどうか検査します。
認定されれば、認定書が交付され、事業を開始することができるようになります。
旅館業の申請手続き
- 生活衛生課・消防署へ事前相談
- 必要書類を揃える
- 申請書の記入・提出
- 保健所の立ち入り調査
【旅館業の申請手続き】生活衛生課へ事前相談(必須)
旅館業を申請できる物件であるか確認が必要であるため、生活衛生課へ事前相談しましょう。
- 物件の構造が、旅館業法の基準に適合しているか
- 物件の立地が旅館業の営業が認められている土地かどうか
- 賃貸物件を民泊に利用する際には、転貸(又貸し)が禁止されていないこと
- マンションの場合は、規約で民泊営業が禁止されていないこと
- 宿泊者1人につき3.3平方メートル(2畳)の床面積があるかどうか
地域よっては、景観条例など、非常に細かい規定が設けられている場合もあります。
事前に生活衛生課へ相談し、各自治体の「民泊条例」に従った準備が必要になります。
【旅館業の申請手続き】消防署へ事前相談(必須)
民泊施設には、消防用設備(火災報知器・消化器・誘導灯)の設置や、避難などの安全対策が必要なので、消防局員立会いのもと、民泊施設を点検してもらう必要があります。
基準をクリアしていれば「消防法令適合通知書」を発行してもらうことができます。
【旅館業の申請手続き】必要書類
必要書類と手数料は自治体によって異なります。
役所窓口に行くと、必要書類の説明もしてくれますので相談するのが一番です。
- 旅館業営業許可申請書
- 構造設備の概要
- 申告書(法人の場合、取締役以上全員)
- 付近見取図
- 建物配置図、各階平面図、正面図、側面図
- 客室等にガス設備を設ける場合は、ガス配管図
- 照明設備系統図、機械換気設備系統図、給排水設備系統図
- 法人の場合は、定款または寄付行為の写し及び登記事項証明書(6ヶ月以内のもの)
※手数料・・・16,500円
【旅館業の申請手続き】施設検査
保健所の調査員が、立ち会いのもと、申請された書類と相違がないか、構造設備基準を満たしているかどうか検査します。
検査に合格すれば、営業許可証が交付され、事業を開始することができるようになります。
民泊新法の届出手続き
民泊は、都道府県知事への届出が必要になりますが、まず民泊を営業できるかどうか確認しましょう。
民泊営業を禁止している区域や、マンションの規約で民泊営業を禁止しているマンションも増えているからです。
民泊の届出は、観光庁の民泊制度ポータルサイトの「民泊制度運営システム」でオンライン上で行うことが出来ます。
民泊の届出に必要な書類
- 届出書
- 消防法令適合通知書
- 住宅の登記事項証明書
- 住宅の図面
- 入居者の募集が行われていることを証明する書類
- 借家の場合は大家さんの承諾書、マンションの管理規約の提出
- 誓約書
- 身分証明書
家主居住型(ホームステイ型)の民泊施設と、家主不在型(投資型)の民泊施設では、必要な消防設備が変わってきます。
また必要な消防設備は、面積によっても変わってくるため、管轄の消防署へ相談し、民泊施設の点検をしてもらい「消防法令適合通知書」を発行してもらいましょう。
- 商号・名称、もしくは氏名、住所
- 法人の場合、役員の氏名
- 未成年である場合、法定代理人の氏名、住所
- 民泊施設の所在地、不動産番号
- 営業所、事務所を設ける場合、名称および住所
- 家主不在型の場合、住宅宿泊管理業者の商号、名称または氏名
- 住宅の図面
家主不在型の民泊を営業するのであれば、住宅宿泊管理業者への委託が必要になりますので注意が必要です。
申請から認定までは2週間程度なので、比較的短期間で民泊営業を開始することができます。
手続きに自信がない場合は、行政書士に相談を
東京で民泊の許可を取得する方法には「特区民泊」「旅館業法」「民泊新法」の3つの方法がありますが、民泊の許可を取得する手続きは、用意しなければならない書類も多く、慣れていない人にとっては大変な作業です。
民泊を始めるには、「旅館業法」「民泊新法」以外にも、「建築基準法」「消防法」、各自治体によって異なる「民泊条例」に適合させなければなりません。
複雑で、時間と手間を要するため、手続きに自信がない人は、行政書士に依頼するのもオススメです。
官公庁に提出する許認可に関する書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続きの代行を行うことができる国家資格者です。
これから民泊を始めるための物件を探す場合も、民泊を適正に営業できる施設かどうかの判断や、建築基準法や消防法に適合させるにはどのような工事が必要で、工事費用はどのくらいかかるかなど、相談にも乗ってくれます。
法律に精通した「行政書士」は民泊を開始する上で、心強い味方となってくれるはずです。
行政書士に依頼すると、提出する書類の作成や申請を代行してもらえるので、申請・届出や手続きに関わる時間を他の作業に有効活用できるため、開業までスムーズに進みます。
中には司法書士と間違える人も・・・
「行政書士」と「司法書士」どちらも法律にまつわる書類を作成する仕事なので、中には間違えて司法書士に相談してしまう人がいるようです。
「行政書士」と「司法書士」の大きな違いは、作成した書類の提出先です。
司法書士が、法務局や裁判所に関わる書類を作成するのに対し、行政書士は、行政機関、官公庁に提出する書類(主に許認可に関するもの)を作成します。