行政書士の教科書 > 民泊 > 「民泊」を始めたいけど儲かる?民泊営業を始めるメリット・デメリット。

「民泊」を始めたいけど儲かる?民泊営業を始めるメリット・デメリット。

この記事は約 12 分で読めます
[掲載日]2018/04/19 328 -

一般の住宅を旅行者に有料で貸し出す「民泊」が注目されています。

「ヤミ民泊」「民泊トラブル」など、マイナスイメージの強かった「民泊」ですが、民泊に関するルールを定めた「民泊新法」が公布されたことで、マイナスイメージの払拭と、適正な民泊運営、観光客の来訪や滞在促進が期待されています。

民泊施設が増えている理由

民泊施設が増えている理由は、民泊を利用する宿泊客にも、民泊のオーナー(住宅宿泊事業者)にもメリットが多いからなのですが、もともとは、次のような問題を解決するべく誕生したビジネスです。

  • 政府が推進するインバウンド政策による外国人観光客の増加
  • 外国人観光客の増加による宿泊施設の不足
  • 外国人旅行客の宿泊ニーズの多様化
  • 少子高齢化により深刻となっている空き家・空き室の増加

政府が推進するインバウンド政策よる外国人観光客の増加

年々、増加する外国人観光客。

外国人観光客が急増している理由のひとつに、観光庁が中心となり進められている「インバウンド政策」があります。

最近では「インバウンド需要」という言葉もニュースなどでよく聞かれるようになりましたよね。

【インバウンドとは?】
「入ってくる」という意味のある「INBOUND」という英単語からきている。
旅行業界においての「インバウンド」とは「国内に入ってくる旅行」、つまり「訪日外国人旅行者」のことを指しています。「インバウンド」の逆の意味で使用されているのが「アウトバウンド」で、「日本人による海外旅行」のことを指します。

アニメ・漫画といった日本の人気文化、和食が世界で注目されていること、2020年には東京オリンピックが控えていることもあり、外国人観光客はさらに増加していくと予想されています。

経済効果だけでなく、地域活性化も狙っている「インバウンド政策」の恩恵を受けるのが、宿泊サービスであることから、民泊施設が注目されています。

外国人観光客の増加による宿泊施設の不足

政府による「インバウンド政策」が確実に実を結んできており、特に中国、韓国、台湾、香港などアジア圏の観光客が増えています。

【外国人観光客が増えている理由】

  • 円安により日本旅行が安くなった
  • ビザ取得の基準や手続きが緩和され日本に入国しやすくなった
  • アジア地域の経済成長により、海外に旅行する人が増えた
  • 原油価格の低下、格安航空の普及で、航空運賃が安くなり、アクセスも良くなった

外国人観光客の誘致には成功したものの、急激な増加により、宿泊施設の不足宿泊費の高騰といった新しい問題が発生しました。

そこで政府は自宅の一部やマンションの空き室などを活用して宿泊サービスを提供する「民泊」の営業がしやすい「国家戦略特区」を指定しました。

【国家戦略特区】
東京都大田区・北九州市・大阪府の一部・大阪市・新潟市の5つの地域

しかし、「国家戦略特区」ではない他の地域では隠れて民泊の営業を行う「ヤミ民泊」が増加し、問題となっていました。

地域住民とのトラブルになっていること、民泊施設が犯罪の温床になってしまっていること、2020年の東京オリンピックでは、都市部を中心に客室不足が深刻化することなどから、政府は新しく民泊のルールを定めた「民泊新法」を公布したのです。

今まで、「国家戦略特区」でのみ営業が認められていた民泊が、全国に解禁されることとなりました。

外国人観光客の宿泊ニーズの多様化

以前は、外国人観光客といえば、観光スポット巡りをしている団体や、デパートや量販店で「爆買い」している姿を多く見かけましたが、最近は日本での過ごし方や訪問場所、滞在場所にも少しずつ変化が見えるといいます。

観光地でもないのに街中で外国人観光客を見かけることも多くなったと感じている人もいるのではないでしょうか。

日本を訪れる人たちの中には、交通の便が良い都市部でリーズナブルに楽しみたい人、日本の生活に興味がありホームステイをしてみたい人、長期滞在をしたいので宿泊費をできるだけ抑えたい人、時間に縛られずに自由に行動したいという人が、「民泊」を積極的に利用するようになってきています。

少子高齢化により深刻となっている空き家・空き室の増加

不動産オーナーが頭を抱えている問題といえば、人口減少・少子高齢化による空き家・空室問題です。

物件は供給過多の時代に入っており、非常に深刻な状態に陥っています。

新築の時は経営が順調な賃貸経営でも、築年数の経過とともに他の新築物件に入居者を奪われ、空室が増えていく傾向にあります。

野村総合研究所の調べでは、2018年には空き家率が16.9%、2033年には空き家率が30%を超えるといった予測もされています。

そんな空き家・空室を有効活用できるのが「民泊」の営業です。

例えば、リクルートホールディングスは、民泊を利用したい宿泊客と、民泊施設を貸し出したいオーナーをマッチングさせる「住宅宿泊仲介業者」である「エアビーアンドビー」と業務提携し、民泊運営支援事業を始めています。

民泊は大きなビジネスチャンス?!

利用する側にとっても、貸し出す側にとってもメリットの多い「民泊ビジネス」。

政府も、民泊サービスの適正化を図りながら、観光客の来訪・滞在促進を目指すことを目的とした法律「民泊新法」を公布し、民泊に期待を寄せています。

そのため民泊をビジネスチャンスとして捉え、参入を検討している不動産オーナーも多いのではないでしょうか。

「民泊」の営業をはじめる前に、メリット・デメリットを確認しておきましょう。

民泊営業を始めるメリットとは?

    【民泊営業を始めるメリット】

  • 「民泊」は、空き家・空き部屋を有効活用できる
  • 「民泊」は、初期投資額や工事が少なく済む
  • 「民泊」は、異文化交流ができる

「民泊」は、空き家・空き部屋を有効活用できる

民泊の営業を始める一番のメリットは、空き家や空き部屋を有効活用できること、民泊として貸し出すことで収入を得ることができる点だと思います。

長い間、空き家・空き室状態が続くことで、維持・管理費用がかさみ、赤字経営となっているオーナーも少なくありません。

外国人観光客が急増し宿泊施設が不足してるなか、需要の高い「民泊」であれば、利用者が見つかりやすく収入を得ることが可能です。

また、年数回利用するだけの別荘、休日に生活しているセカンドハウス(別宅)、転勤により一時的に生活の本拠を移して空室になっている住宅、将来的な居住のために所有している物件を、「民泊施設」として貸し出し、副収入を得ている人もいます。

民泊の営業ができない物件もある

空き家や空き部屋を有効活用できるとはいっても、民泊営業が認められない「住宅」もあるので注意が必要です。
例えば、使用した形跡がない新築物件などです。

また、マンションの1室で民泊を始めたい場合は、マンションの管理規約を確認する必要があります。
マンションの管理規約で民泊営業そのものが禁止されている場合があるからです。

民泊の営業を始める場合は「民泊新法」だけでなく、各自治体の「民泊条例」をチェックすることも必須です。
「民泊」に消極的な自治体では、住居専用地域での営業を禁止している場合もあります。

「民泊」は、初期投資額や工事が少なく済む

同じ宿泊サービスである「ホテル」「旅館」「民宿」「ペンション」などを営業するとなると、「旅館業法」に基づいた施設でなくてはならず、充実した設備も必要になるため、多大な費用がかかります。

これに対して民泊を行うことができる施設は「住宅」という位置づけになるため、大きな設備は必要ありません。

最低限の設備で営業を開始することができるのです。

【民泊施設に必要な設備】

  • 台所・浴室・トイレ・洗面設備が備えられた施設であること
  • 浴室・トイレ・洗面設備は、一緒になっている3点ユニットバスでも可
  • 浴槽がない場合、シャワーがあればOK
  • トイレは和式・洋式どちらでも構わない
  • 浴室のない「離れ」の場合、「母屋」に浴室があればOK

他に、民泊部分の面積によっては「消火器」「自動火災報知設備」「誘導灯」などの消防設備の設置が必要な場合もありますが、工期も短期間で済みます。

「民泊」は、異文化交流ができる

民泊の営業スタイルには、家主居住型(ホームステイ型)と、家主不在型(投資型)の2つがあります。

  • 家主居住型(ホームステイ型)・・・家主の生活の本拠である住宅の一部屋などを貸し出す民泊のタイプ
  • 家主不在型(投資型)・・・家主が生活の本拠としない(住んでいない)民泊施設を貸し出す民泊のタイプ

自宅の一部を貸し出し、オーナーと宿泊者が同じ屋根の下で過ごす家主居住型(ホームステイ型)の民泊の場合、宿泊者との交流を楽しめるというメリットもあります。

民泊の利用者は外国人観光客が多いため、日本の文化を紹介したり、宿泊者の国の文化を知ったりできる異文化交流は、貴重な体験となるでしょう。

 

民泊営業を始めるデメリットとは?

【民泊営業を始めるデメリット】

  • 「民泊」で、部屋が荒れてしまう可能性がある
  • 「民泊」で、近隣住民とトラブルになる可能性がある
  • 「民泊」は、宿泊者との連絡など手間がかかる
  • 「民泊」で、大きな収益は期待できない

「民泊」で部屋が荒れてしまう可能性がある

これは「賃貸経営」でもあり得ることで「民泊」だけに限った話ではありませんが、部屋が汚されたり、設備が壊されたりする可能性があります。

特に、外国人観光客の場合、文化や習慣の違いから、トラブルが起こるケースも多いです。

【部屋の利用方法に関するトラブル】

  • ゴミの分別や、ゴミ出しの方法がわからず、部屋に大量のごみが散乱していた
  • トイレの使い方が理解できなかったようで、激しく汚れていた
  • 備え付けの家具や設備が壊されていた
  • 備え付けの家具や設備を持ち帰って(盗まれて)しまった

このようなリスクがあることを認識し、トイレの利用方法やゴミ出しに関すること、ルールやマナーなどを外国語で表示しておく必要があります。

「民泊」で近隣住民とトラブルになる可能性がある

民泊が抱える問題として、近隣住民とトラブルになりやすいことがあげられます。

貸し出した相手が外国人観光客の場合は、長期間に渡って宿泊することも多いため、文化や習慣の違いによるトラブルが起きやすくなります。

【実際にあったトラブル・苦情】

  • 大勢で庭でバーベキューなどパーティして騒ぐ
  • 深夜まで大声で騒ぐ
  • ゴミ出しの分別やゴミ出しの日が守れない
  • キャリーバッグの騒音
  • マンションなど集合住宅で部屋を間違えてしまう
  • エレベーターや廊下などで唾を吐くなどして共用部分を汚す

また治安面から、見知らぬ外国人観光客が、入れ替わり立ち替わり住宅街や集合住宅を出入りすることに、嫌悪感を抱く人もいます。

できれば民泊営業を始める前に、周辺住民へ説明し、理解を得ることが望ましいとされているほか、トラブル防止のために、宿泊者が守るべきルールやマナーを決め、周知徹底を図ることも大切です。

苦情が出た場合はどうしたらいい?

民泊の営業スタイルには、家主居住型(ホームステイ型)と、家主不在型(投資型)の2つがあるとお話しましたが、自宅の一部を貸し出し、オーナーと宿泊者が同じ屋根の下で過ごす家主居住型(ホームステイ型)の場合は、オーナーが宿泊者にマナーやルールを直接教えたり注意したりできるため、トラブルになるのをある程度防止することができます。

しかし、オーナーと宿泊者が一緒に生活しない家主不在型(投資型)の場合は、監視して注意する人がいないため、近隣住民とのトラブルや苦情が多くなる傾向にあります。

家主不在型(投資型)の場合は、民泊の運営・管理を「住宅宿泊管理業者」に委託しているため、近隣住民とのトラブルや苦情への対応は、「住宅宿泊管理業者」が行うことになります。

近隣住民とのトラブルや苦情にしっかり対応しておかないと、最悪「民泊営業」が続けられなくなってしまうため、注意が必要です。

民泊新法では、周辺地域の住民からの苦情や問い合わせについては、深夜早朝を問わず常時対応する必要がある、管理業者に苦情の連絡が来て、現地(民泊施設)に赴く場合も30分以内を目安とする、とされています。

すぐに回答ができずに保留する場合は、回答期日を明示するなどの配慮が必要です。

「民泊」は宿泊者との連絡など手間がかかる

宿泊者と頻繁にメールなどでやりとりをする必要がありますので、英語がある程度できないとメールの返信だけで時間がかかってしまいます。

外国とは、時差があるため、こちらが夜中でも連絡が入ってくることもありますし、返事を急かされることもあります。

鍵の受け渡しでも、宿泊者が迷ってしまった、約束の時間を守ってくれなかったといったトラブルが起こっています。

「民泊」で大きな収益は期待できない

【民泊営業で大きな利益を上げるのは厳しい理由】

  • 営業日数の上限が定められている
  • 宿泊費の相場が安い
  • 管理コストがかかる

営業日数の上限が定められている

民泊は「民泊新法」によって、「人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないこと」と営業日数に上限が定められています。

1年間に180日しか営業できないため、限られた営業日数で利益を出さなければならないのです。

【なぜ営業日数の上限が180日なの?】
民泊新法(住宅宿泊事業法)によると、民泊を行うことができる施設は「住宅」という位置づけになっています。
1年(365日)の半分以上を、他人に有料で貸す宿泊サービスに活用している家は「住宅」とはいえないという考えから、営業日数の上限が180日となっているのです。

また、民泊新法(住宅宿泊事業法)は、各自治体が「民泊条例」などで更に規制をかけることも可能なのです。

そのため、「民泊」に消極的な自治体や、住民からの反対が多い自治体などでは、180日という営業日数の上限をさらに短縮する民泊条例(例えば金曜〜月曜のみ営業可能など)を制定している地域があるので、必ず管轄の自治体に問い合わせて確認することをオススメします。

民泊の1泊あたりの料金の相場は非常に安い

民博が外国人観光客に選ばれる理由のひとつが「宿泊料金の安さ」です。

料金の設定はオーナーによっても様々ですが、民泊を始めるライバルが増えるとともに宿泊費の値下げ競争になっているといいます。

個室でも1泊1名1,000円~2,000円前後、1泊2名で4,000円前後、1泊3名で5,000円前後、1泊4名8,000円程度の民泊施設が多いようです。

賃貸物件のように「設備」を充実させれば料金を高くしても選ばれるのでは?と思いがちですが、民泊を選ぶ客層は、施設や設備よりもまず「安さ」にこだわる人が多い傾向にあります。

管理コストがかかる

民泊施設には、家主居住型(ホームステイ型)と、家主不在型(投資型)の2種類のタイプがあります。

  • 家主居住型(ホームステイ型)・・・家主の生活の本拠である住宅の一部屋などを貸し出す民泊のタイプ
  • 家主不在型(投資型)・・・家主が生活の本拠としない(住んでいない)民泊施設を貸し出す民泊のタイプ

家主不在型(投資型)の民泊を営業する場合は、民泊の管理・運営を行う「住宅宿泊管理業者」に委託することが義務づけられているため、コストがかかります。

それだけでなく、家賃や光熱費、Wi-Fi通信費、トイレットペーパーなど日用品の補充、汚れたり壊れた備品の交換などをすればあっという間に赤字経営ということも少なくありません。

民泊の営業で利益を上げるなら家主居住型(ホームステイ型)がオススメ

家主不在型(投資型)の民泊を営業する場合は、管理・運営を業者に委託しなければならないため、コストがかかり大きな利益は見込むことが難しいといわれています。

民泊が「ビジネス」として成り立つのは、家主居住型(ホームステイ型)タイプの民泊といえそうです。

自宅の使っていない部屋(例えば自立して家を出た子どもの部屋など)を貸し出す家主居住型(ホームステイ型)タイプの民泊の場合、賃貸費用や光熱費などのランニングコストがほとんどかからないため、例え宿泊費が安くても赤字経営にはなりにくいからです。

民泊を営業するのにオススメの人

家主居住型(ホームステイ型)タイプの民泊の場合、ランニングコストが安く済む分、設備やサービスにお金を回せるので宿泊者の満足度が高くなり、リピーターになってくれる人も多いといいます。

民泊のオーナーになって良かったという人の多くが、実は「ビジネス目的ではない人たち」「儲けは気にしていない人たち」です。

人をもてなすのが好きな人、英語でコミュニケーションができる人、もしくは生きた英語を習得したいと考えている人、外国人や外国の文化に興味がある人、外国人のお友達を作りたい人、時間に余裕があり民泊の運用をひとりで行うことができる人に、民泊のオーナーはオススメです。